「・・・いったい僕がなにしたって言うんだよ・・・」





抱き枕







今日から高校の修学旅行。
かつてのチルドレン達も無事進学し、相変わらずの喧騒を繰り広げている。



「トウジ、もうちょっと落ち着いて食べなよ」


元サードチルドレン−碇シンジが向かいの席で一心不乱に夕食をかっ食らっているジャージ姿の少年−鈴原トウジに言う。
ちなみに、夕食のメニューはすき焼き。


「これが・・・カッカッカッ(かき込んでいる音)・・・落ち着いて・・・カッカッカッ・・・ 食っとれるかい!」
「ま、トウジだからな」


わかっているようなわかっていないようなフォローをするのは、トウジの隣でマイペースですき焼きを突っついている眼鏡の少年。
眼鏡をきらーんと光らせ少年−相田ケンスケが言葉を続ける。


「そういう碇こそ、落ち着いて食えよ、そんなに惣流のことが気がかりか?」
「ん・・・うん、アスカって硬くなったお肉が嫌いなんだ」
「相変わらずやのう、センセ」
「ま、シンジだからな」

(まったく、こんなことやってるくせに、恋人関係否定するんだからな)
(大丈夫かなぁ・・・また変なことにならないといいけど・・・)

ケンスケの心のつぶやきは無視し。<をい
シンジが心配そうに見つめている女性陣の方へ目を向けてみよう。


「うん、もう!なんでこんなに硬いのよこのお肉わぁ!」
「・・・(もぐもぐ)」


シンジの心配しているとおり、硬くなった牛肉に文句を言っているのは元セカンドチルドレン−惣流・アスカ・ラングレー。
そのかたわらで寡黙に食べているのは元ファーストチルドレン−綾波レイ。


「ちょっとぉ、ファースト! アタシの分のお豆腐取らないでよ!」
「・・・これはあなただけのものじゃないわ」
「ぐっ・・・」


ここに鍋奉行がいればちょっとはましなのだろうが、あいにくその立場たるべき学級委員長−洞木ヒカリはなにやら担任教諭と話をしている。


(まったく! シンジが作ってくれるすき焼きはあんなにお肉が柔らかくって美味しいのに。なんでこのお肉は硬いのよ!)

「あぁ!もぅ!ちょっとシンジ!こっちきなさい!!」


心の中では『ひぃ〜ん シンジぃ なんとかしてよぉ』と泣きついているのだが、相変わらず素直な言葉が出てくるアスカではない、ついでに言うなら既に下僕根性が骨の髄まで染み込んだシンジがこの言葉に逆らえるはずもない。あるいは惚れた弱みというやつか。


(やっぱり・・・)

「はぁ・・・しょうがないなぁ」
「センセも大変やなぁ」
「ま、シンジだからな」
「僕の分、残しといてね」


この言葉は無駄だ。欠食児童と呼ばれるほどのトウジが目の前にあるすき焼きを残すわけがない。事実、鍋にご飯を入れる準備をはじめている。
そんなこととはつゆ知らず、シンジはアスカのもとへと歩み寄る。


「なに?アスカ?」
「『なに?』じゃないわよ!なによ、このお肉、硬くって食べられたもんじゃないわ!」

(そんなこと僕のせいじゃないのに・・・どれどれ?やっぱり・・・)


シンジはとりあえず鍋を覗く。すき焼きにおける物品配置には鉄則がある。


「あのね、アスカ、しらたきとお肉を隣同士に置いといちゃいけないの、しらたきに入ってる石灰分でお肉が硬くなっちゃうんだから」
「むぅ〜・・・アタシがそんなこと知ってるわけがないでしょ!」
「はいはい、じゃ、これでよしっと、はいアスカ、硬くなったのは僕が食べるからね」


ふだん、葛城家ではシンジが鍋奉行を務めるので、こういった心配をアスカがする必要はないのだ。当の本人は意識していないが、ある意味アスカに対するシンジの餌づけは成功しているといえるかもしれない。
鍋の中の再配置を終えたシンジから小鉢を受け取ったアスカがうれしそうな顔をしながら箸をのばす。
んが、そのアスカを凍りつかせる一言をシンジが言う。


「あ、綾波、小鉢かして、取ってあげるから」
「・・・はい」
「お肉はいらないんだよね?」
「・・・うん」


『ぴきっ』アスカのこめかみに青筋が浮かび上がる。アスカにしてみれば、シンジが自分以外の女性になにかをすることそのものが気に入らないのだ。


(碇くんがよそってくれた・・・碇くんがよそってくれた・・・うれしい)


目の前の阿修羅をよそに、頬を染めひとりもくもくと食べるレイ。


(なによ!シンジったら!そんなことファーストにやってあげる必要ないでしょうが!)

「はんっ!お優しいことで!」
「え?なに?」


相変わらず鈍感なやつだ。


(はあっ・・・まったくどうしようもないわねぇ・・・どうにかなんないのかしらこの二人。)


いつのまにか戻ってきたヒカリは二人の背後でため息をつく。


「あ、碇くん、あとは私がやるから、席に戻って」
「う、うん」

(なによ! バカシンジっ!)


席に戻っていくシンジをにらみつけているアスカ。
そんなアスカを見て、ヒカリはくすっと笑う。


「なぁによぉ、ヒカリぃ」
「ん、いや、どうして素直にできないのかなぁって」
「なんでアタシが!」
「アスカ!」
「うっ・・・わかったわよ」


席へ戻ったもののテーブルの上を見てシンジは愕然とする。
案の定、そこにはきれいにかたづけられた鍋だけが残っていたのだ。


「あぁっ!?ひどいよトウジ!残しといてって言ったじゃないかぁ!」
「ん?そやったか?すまんなセンセ」
「ま、トウジだからな」
「はぁ〜・・・」

(ん?しょうがない、親友のために一肌脱ぎますか)


三バカの会話を聞きつけたヒカリはひょいひょいと鍋の中のものをみつくろう。
さすがにその箸さばきはたいしたものだ。


「ほら、アスカ」
「な、なによぉヒカリぃ」
「いいから、碇くんのところに持っていきなさい」
「うん・・・」
「うまくやりなさい」
「・・・ありがと、ヒカリ」


立ち上がり、シンジたちの方へ歩きだしたアスカを紅い瞳がうらやましそうに見つめていた。


「ほら!シンジ!」


ヒカリの友情に感謝しながら、アスカは小鉢にとったすき焼きをシンジに差し出す。
頬がかすかに赤らんでいるのはどことなく気恥ずかしいからだろう。


「あ・・・うん、ありがとう」
「お、やっぱ愛しあってる二人はちがうねぇ」
「せやな」
「ぬぁんですってぇ!だいたい鈴原がシンジの分まで食べちゃうからこんなことになったんでしょうがぁ!」
「腹減っとったんやさかい、しゃあないやんか」
「ま、トウジだからな」


少し赤くなりながら受け取るシンジに向け、残りの二バカがチャチャを入れる。それに対して照れ隠しか、アスカが過剰に反応する。
相変わらずの口ゲンカが繰り広げられるそばで、ささやかな幸せを感じつつ、シンジが夕食を食べ終えた。
そこへレイがタイミングを見計らったように寄ってくる。


「・・・碇くん・・・お茶」
「あ、ありがとう、綾波」
「ううん・・・さっきのお礼」


『ぴきっ』またしてもアスカのこめかみに青筋が浮かび上がる。


(こんっの女ぁ!性懲りもなくまた!)

「ちょっとぉ!ファースト!あんたの席はあっちでしょうが!」
「・・・それはあなたも同じだわ」
「ぐっ・・・」


冷静なレイにやりこめられ、アスカは二の句が継げなくなってしまう。


(ファーストぉ!覚えてなさいよ!)

「わかったわよ!もどりましょ!」
「・・・碇くん・・・それじゃ」
「平和だねー」


ケンスケの声だけが、これがいつものことであることを指し示している。
その頃トウジはというと。


「どこかすき焼き余ってへんかぁ〜?」


こいつ・・・まぁいいや。
耳ざといヒカリがそそくさと鍋の中身を集めはじめている。




「さぁ、みんな食べ終わったわね!各自部屋に帰ってお風呂に入りなさい!」


シンジたちの担任教諭−葛城ミサトが言う。
彼女は表向きはネルフを退職し、高校教師になったことになっているが、実際にはシンジたちのガードを行っているのである。
とはいうものの、本業そっちのけでシンジたちをからかうネタを収集することに喜びを見いだしている様子。
まぁ彼女らしいといえば彼女らしいのだが。


(ヒカリにさっきのお礼もしなきゃいけないわねぇ・・・よし!)

「あ、シンジ!あとでアンタたちの部屋に行くからね」
「え、なんで?」
「いいから!」


その言葉を聞きつけたミサトの唇がニヤリと歪んだことを記しておこう。
ついでに、エビチュを買いに自動販売機に走ったことも。

(ふっふっふ、リツコ特製のアレが役立つ時が来たようね。楽しませてもらうわよ、シンちゃん、アスカ)












<大浴場>

「いいわねぇ、アスカってプロポーション良くって」
「あら、ヒカリだっていい線いってるわよ」
「そうかなぁ・・・」
「大丈夫、鈴原なんてイチコロよ!」
「アスカぁ・・・」

真っ赤になるヒカリ。

「ごめんごめん、さぁ、体洗いましょ」
「うん」

(綾波さんもきれいよねぇ・・・)


目の前で髪を洗っているレイを見ながら、ヒカリはそんなことを思っている。




「ねぇ、やめようよぉ・・・」
「なに言ってるんだシンジ、こんなチャンスを逃してたまるか」
「せやせや」
「だって、こんなとこアスカに見つかったらそれこそなにされるか・・・」
「おおっ!あれはB組のっ!」
「なんやてっ!」


説明は不要ですね、の・ぞ・き・です。
そこへ背後からのほほんとした、それでいて凍りつくような声がかかる。


「あぁ〜ら、シンちゃぁ〜ん、こぉ〜んなとっころでなっにしてるのかなぁ〜?」
「ミサトさんっ!?」×3
「見たいなら見たいっていえば先生がいつでも見せてあげるのにぃ」
「え、いや、あの、その・・・」
「・・・・・・」


真っ赤になるシンジとミサトの裸を想像し、鼻血を流している二人。


「ま、アスカには黙っといてあげるわ、あとが怖いしね」
「ほぉぉ〜っ」×3


大きく息を吐き、安堵する三バカ。


【バキッ】
顔を上げると、ケンスケのデジタルカメラが破壊されていた。


「あああああ」
「ま、これはこうしとかないとね」


捨てぜりふを残して、担任教諭・葛城ミサトは去っていった。


「まだ支払いが残っているのにぃ〜!」


ケンスケの叫びが夜空にこだまする。
だが、彼がスペアのカメラを持ってきていることは言うまでもない。
余談ながら、シンジたちがのぞきに行った時間にはアスカたちは既に浴場を出ていたことを追記しておく。












<シンジたちの部屋>

シンジはテラスでS−DATを聞いている。
部活の演奏会が近いらしく、演奏のイメージを掴もうとしているのだ。

ケンスケはカメラを磨いている。
時折、眼鏡がきらーんと光っているのは、怪しいことでも考えているのか。

トウジはTVで阪神戦を見ている。
どこか応援する声が弾んでいるようだ、勝っているのだろう。

【コンコン】
ノックの音がする。


「開いてるよ〜」


S−DATを聞いているシンジや応援に熱中しているトウジが気づくはずもなく。
ケンスケがドアの方も向かずに返事をする。


「入るわよ」
「・・・」×2


一声かけて、アスカたちが入ってくる。
ヒカリとレイはただ無言。
ヒカリは真っ赤になっていた。おそらく、アスカの悪巧みによるものだろう。


「ほら、ヒカリ、いってらっしゃい(しっかりね)」
「うん・・・(ありがと、アスカ)」


TVを見ているトウジの方を指し示し、アスカがヒカリに言う。
そちらの方へ歩いていくヒカリ、さらに赤く染まっていく。


「す、すずはら・・・(どきどき)」
「いけっ、そこや! あ、あぁ?いいんちょか、なんや?」


熱中していても、ヒカリの声は耳に入ると見える。
これもまた惚れている証拠だろう。


「・・・となり・・・いいかな?・・・(いやぁ〜っ恥ずかしい)」
「あ、あぁ、かまへんで」
「ありがとう・・・(うううう、うれしいっ)」


いい雰囲気の二人。仲良く応援をはじめた。もっとも、ヒカリには野球の試合などどうでもいい様子である。
そんな二人を満足したように眺め、アスカは部屋を見回す。だが、シンジはいない。


(変ねぇ?どこ行ったのかしら?)

「相田ぁ、シンジは?(どこ?どこよっ!)」
「あぁ、さっきテラスにいたぜ(相変わらずシンジのことしか頭にないんだな)」
「そ、ありがと(おっしゃっ!)」


そう告げてアスカはテラスへ向かう。だが、そこには先客がいた。そう、レイである。
シンジのすぐそばの椅子に座り、シンジをじっと見つめている。目を閉じて集中しているためか、シンジはそれに気づいていない。

『ぴきっ』今日何度目になるのだろう?
またしてもアスカのこめかみに青筋が浮かぶ。


(こんっのバカシンジ!なにデレデレしてんのよっ!)


別にシンジがなにかしているわけではないのだが、そこは独占欲の固まりのようなアスカが黙って見ているわけがない。
つかつかと歩み寄り、シンジの耳をつかんで引きずっていく。


「い、いたたたた!」
「こっちきなさい!バカシンジ!」
「な、なんだよ!僕がなにしたって言うんだよ!」
「うるさい!!」
「・・・はい・・・」


シンジ、情けないぞ・・・
レイは黙ってその様子を見ていた、そして一言。


「・・・弐号機パイロット・・・赤毛猿・・・」




部屋の中へ戻り、ちゃっかりとシンジの隣を確保したアスカがトランプをやることを提案する。
とりあえずシンジをそばに置いているのでごきげんなようだ。


「さ、トランプでもしましょ」
「さんせーい」×4←レイは無言
「で、なにやる?」
「ん〜大貧民なんてどうかな?」
「いいわね、それでいきましょ」


作者は高校時代、出展予定がないときは部活をほったらかして、トランプに明け暮れていた。
その時は大貧民ではなく大富豪と言っていたが、どちらが正しいのであろうか?
まぁ、そんなことはどうでもいい。話をもどすとしよう。


「あがりぃ〜へっへぇ〜ん」
「またかいな」
「さっすが」
「・・・」
「ま、惣流だからな」


そして。


「また僕の負けだ」


哀れなり、シンジ。




ひとしきり遊んだ後、それぞれが勝手なことをはじめている。
トウジとヒカリはなにやら話し込んでいる。
シンジはボケ〜っとしている。
レイはそのシンジを見つめている。
ケンスケはそのレイを撮っている。
そしてアスカはというと。頬に指を当てた可愛らしいポーズでなにやら考え込んでいるようだ。


(ミスったわね、負けた人は勝った人の言うことを聞くとかなんとか決めておけばよかった。まぁ、当初の予定通りヒカリと鈴原を仲良くさせるのは成功したとして、なあ〜んか物足りないのよねぇ)


要は自分もシンジといちゃつきたいだけなのだが、そこは素直じゃないアスカのこと、なんとかしてシンジにかまってもらうべく考えをめぐらす。


(ふむ)


そのとき、自分が枕を抱きしめていることに気がついた。
たちまち、『ちゃあ〜んす』の顔になる。

【ばふっ】
小気味いい音を立ててアスカが投げた枕がシンジに当たる。
シンジが驚いて枕が飛んできた方向を見ると、アスカが小悪魔的な笑みを浮かべてこちらを見ている。


「やったなぁ!」


一言返して、シンジが枕を投げ返す。
だが、顔は笑っており、力もそれほどいれてない。それはシンジの優しさの現れだろう。


「なによ?バカシンジのくせにやるっていうの?」


シンジが投げた枕をたやすく受け止め。アスカがうれしそうに言う。実際、シンジにかまってもらえるのがうれしくてたまらないのだ。
その視線の先にあるシンジの頭に側面から勢いよく枕がぶつかってくる。


「なっ!?」


アスカが枕の飛んできた方向を見ると、トウジがにやにやしながら別の枕を掴んでいた。


「すーずーはーらー、やってくれたわねぇ!」
「なんや?自分の亭主がやられたことがそんなに悔しいんかい?」


その一言にアスカとシンジが真っ赤になる。


「なななななんですってぇ!?シンジっ一時休戦よっ!」


そういうと同時にアスカはトウジに向かって枕を投げる。
だがトウジも負けてはいない。飛んできた枕を払いざま、すかさず手に掴んでいた枕をアスカに向かって投げる。
アスカも枕を軽くかわす。


「やるじゃない!でも勝負はこれからよ!」
「おう、受けてたったるわ!」


アスカのゲルマン魂とトウジの大阪魂に火がついた。たちまち周囲も巻き込まれての乱戦となる。
勢力図としてはアスカ・シンジ対トウジ・ヒカリ・ケンスケという構図。
レイはいつのまにか部屋から撤退している。この辺はエヴァでの戦闘経験の賜物だろう。


「ちょっ・・・アスカぁ・・・やめようよぉ」
「うっさいわね!アンタもしっかり狙いなさい!」


もともとどんくさいシンジが戦力になるわけがない。それどころか、アスカがよけた枕がなぜかシンジにばかりぶち当たる。
それを見たアスカはますます激昂する。まるで暴走したエヴァのように。
『すべての電源をカットして!!早くっ!!!!』
『駄目です!信号受け付けません!!』
という会話が聞こえてきそうだ。


「こんのおぉぉぉぉぉ!」
「ふぎゃ」


なにやらカエルが潰されたような声がしたのは気のせいか?




(!?・・・シンジ!?)

荒い息を吐きながら、アスカが周囲を見渡すと、シンジが鼻血を出してのびている。
それを見たアスカは怒りのあまりこめかみに数本青筋が浮かぶ。
その形相を見た3人は死を覚悟したという。


目撃者H.Hさん
「えぇ、それはびっくりしました、まるで地獄から異形の悪魔が出てきたような。それを見て、あたし気絶したぐらいですから」

目撃者T.Sさん
「ありゃあごっつ怖かったでぇ、シンジのエヴァの中で使途と対峙した時よりも怖かったわ」

目撃者K.Aさん
「あれは怖いなんてもんじゃないね、ケルベロスの餌にされるかと思ったぐらいだし。写真?そんなもん撮れたらオレは自分で自分を誉めてやりたいよ」


弐号機、再度暴走。


「あぁ〜んたたちぃぃぃぃぃぃ!!!よくもシンジをぉぉぉぉ!!!」
「うっぎゃあ〜!!!」×2←ヒカリは既に気絶している




「シンジ!シンジ!しっかりしてシンジ!」


とりあえず、タオルを絞ってきてシンジの鼻血を拭き、シンジの頭をひざの上に乗せ、アスカは必死にシンジの名前を呼んでいる。


「ん、うぅん・・・アスカぁ・・・」


寝言だろうか、アスカの名前を呼ぶシンジ。
そんなシンジを見て、アスカは瞳を潤ませる。


「バカ・・・」


安心したのか、シンジの顔を見ながらいつしかアスカもそのまま寝入ってしまった。












<翌朝>

「いや〜んな感じ!」×2
「不潔よっ!二人とも!」
「・・・弐号機パイロット・・・抜け駆け」
「あぁ〜ら、シンちゃあ〜ん、アスカぁ〜お安くないわねぇ〜(ニヤリ)」


おだやかな光が窓越しに差し込む中。三者三様の声が響いている。
その視線の先には、シンジをまるで抱き枕のようにしっかりと腕の中に抱きしめ、幸せそうな顔をして眠っているアスカの姿があった。
周囲の声を聞き、二人の意識がゆっくりと覚醒していく。


(・・・ぼくは・・・どうしたんだ?・・・そうか、あの時・・・アスカの手がバックブローの形で・・・)
(・・・それにしても・・・落ち着く・・・この感覚は・・・まるで・・・母さん・・・)

(・・・なに?・・・この暖かさ・・・ママ・・・)

「え、あ、なに?・・・うわーっ!?なんでアスカがぁ!!」
「うっさいわねぇ・・・なによ?・・・きゃあー!エッチ!バカ!へんたぁーい!!」


【パッシーン】
静かな朝に乾いた音が響き渡る。


(あぁ、びっくりした、シンジったら・・・うん、もう・・・そういうことは二人っきりのときにしてよね)

「・・・いったい僕がなにしたって言うんだよ・・・」


そしてレイはというと。


(・・・碇くん・・・今度は私と)


とか考えていたらしい。
それぞれの想いを秘め、修学旅行は続く。












おまけ

「さぁ〜ってリツコ! 見るわよ」
「相変わらず趣味悪いわねぇ。人から遠隔操作カメラ借りてったと思えばこんなことに使ったの? ミサト」
「なぁ〜に言ってんのよ、自分だって見たいくせに」
「フフッ、まぁね」
「このために見回りと点呼やらなかったんだからね。とっとと再生して」
「はいはい」




「なぁ〜んでそこでいかないのよぉ、シンちゃあん、アスカぁ」
「不様ね」
「ふっ、シンジ、お前には失望した」
「しっ、しししし司令っ!?」
「葛城君、これからもシンジとアスカ君のこと、よろしくたのむ(ニヤリ)」
「わかりました(ニヤリ)」






後悔という名の後書き、もしくは後あがき。(爆)

いかがでしたでしょうか?
抱き枕が最後にちょっとしか出てないのはご容赦ください。
鼻血の原因というのは実話です。(^^;
作者は野郎ばっかりの学校出身なので、修学旅行といってもこういう浮いた記憶はありません。(^^;
形になっていないとは思いますが、こういうもの書く阿呆もいるんだなと、ご笑納いただければ幸いです。


1998.8.14 おかやん



まんた☆彡からの一言

確かに暴走したアスカは信号を受信しそうにありませんね(^^;
そんな時はシンジ君の物理的な接触が必要ですね。
口への…。


目撃者K.Aさんのコメント、気に入りました。
誉めてあげたいです


最後にここでもゲンドウは妖しいシナリオを用意してるんですね(^^;



ここから戻れるわよ