
「いつもの天井だ。」
昨夜の記憶が無い。
確かアスカが買ってきたお酒を飲んだところまでは憶えているんだけど…
そのあとの事が思い出せない。
全く思い出せない訳では無く、断片的には思い出せる。
う〜ん。
それでもほとんど思い出せない。
ベッドで寝ているって事はアスカが運んでくれたに違いない。
ミサトさんはネルフに泊りのはずだから帰ってくるはず無い。
アスカって普段はあんな風にふるまってるけど、ホントはとっても優しいから絶対にアスカだ。
ま、なんにしても二日酔いにならないくて良かった。
二日酔いどころかこんなに良い目覚めは久しぶりだ。
記憶は無くなってるけど…。
はじまり 〜その後〜
起きようとしたが左腕になにか重いモノが乗っているようで起き上がれない。
それどころか左腕は完全に痺れていて感覚が全く無い。
手を握ったり、閉じたりしてみる。
一応動くので取れてしまった訳ではなさそうだ。
落ち着いて自分の腕を分析していると、妙な視線に気付き視線を感じた方を見た。
そうすると吸い込まれそうなぐらい美しい蒼い瞳が僕をジッと見詰めていた。
「アスカッ!」
僕は驚いて蒼い瞳の持ち主の名前を叫んだ。
だが、蒼い瞳の持ち主は全然反応しない。
「なんで、ここにアスカが居るの?」
なにも答えない蒼い瞳の持ち主にさらに質問した。
それでもなにも答えない。
しばらくの沈黙。
そしてやっと蒼い瞳の持ち主は口を開いた。
「責任とってよ。」
「せ、責任!?」
驚きのあまり声が裏返ってしまった。
朝、起きたら女の子が隣で寝ていて責任を取れと言われた。
いくらみんなに鈍感と言われている僕でもその理由はすぐにわかる。
つまり、アスカとそういう事になってしまったという事だろう。
でも僕にはその記憶が無い。
なんだかとても残念で悔しい感じがする。
折角好きな娘と……なのに……。
僕が残念そうな顔をしているとアスカから微かに笑い声が聞えてきた。
「ククククク…。」
僕は怪訝に思いアスカに尋ねる。
「どうしたの?」
「だって、シンジってば勘違いしてるみたいなんだもん。」
「勘違い?」
「そっ。」
僕がなにを勘違いしてるのか訳が分からない。
「責任取れって言っても、アタシ達、別に最後まで行ったって訳じゃないのよ。」
「なんだそうなんだ…。安心したよ。」
ホッとした様な、残念だった様な、複雑な心境だ。
「アンタ、ホンキでアタシとしちゃったと思った訳?
このアタシがアンタなんかとする訳無いじゃない。アンタバカァ?」
「そうだよね……。」
僕はそう小さく呟いた。
それじゃあ、アスカは僕になんの責任を取れというだ?
お酒を最後まで付き合わなかったから?
最後までは行かなくても、キスしたとか胸……とかに触ったとかな?
どっちにしろ覚悟しておいた方がいいかも……。
「アスカは僕になんの責任を取れというの?」
勇気を振り絞ってアスカに聞いてみる。
「そ、それは……。」
アスカが言いよどんでいる。
そんなに言い辛い事なのか?
やっぱり、僕はアスカにかなりエッチな事をしてしまったに違いない。
「アスカ、そんなに言い辛い事なの?」
「そ、そいう訳じゃないんでけどね。」
アスカはそう言ってまた黙ってしまう。
どうも今朝のアスカはアスカらしくない。
何故かとっても女の子らしくて、いつも以上に可愛い。
本来、自然のままのアスカってこういう感じなのかもしれない。
確かにさっきまでの笑ったり、呆れたりしているアスカも可愛いけど、
頬を染め上目遣いで僕をチラチラ見ているアスカは、
おもわず抱きしめたくなるぐらいの可愛いらしい魅力を放出している。
でも今、ここで抱しめたら平手打ち1発や2発じゃすまないだろう。
それこそ一生下僕として扱われるかもしれない。
それでも一生アスカの側に居られるならそれも悪くないかもしれない…。
そんな事を想うって、僕はアスカの事が好きって事なのか?
好きかはまだ判らないけど、世界で一番気になる女の子である事は間違い無い。
確かに綾波も気になるけど……、アスカが気になる気持ちとは違うベクトルの様な気がする。
「シンジ、なにボケボケしてるのよ!」
僕が答えの見えない思考の渦にはまろうとした時、アスカに呼びかけられた。
「べ、別になんでもない。」
「また、エッチな事でも考えてたんでしょう?」
エッチな事は考えてない……と思うけど、ある意味エッチな事に繋がるかもしれない……。
「別にアスカを抱しめたいなんて考えてないよ!」
しまった…墓穴を掘ってしまった(^^;
「えっ。」
アスカが驚いた顔してる。
確かに驚くよな。
僕がそんな事を考える奴なんて思ってないだろうし。
「じょ、冗談だよ。気にしないで。あははは。」
乾いた笑い。
これじゃ冗談に聞えないよな。
我ながらポーカーフェイスが下手だ。
父さんとは大違いだ。
「へ〜、シンジがそんな事考えてるなんてね〜。」
アスカはニタニタ顔だ。
これはかなりマズイと本能が伝える。
「な〜にオドオドしてるのよ。これじゃアタシがいじめてるみたいじゃない。」
まさにその通りだと思うけど…。
「べ、別にオドオドなんてしてないよ。」
「まぁいいわ。
アタシに抱き付いてベッドに押倒したり、
エッチな事をしようと思ったりした事についての責任はとって貰うわよ。」
抱き付いてベッドに押倒した?
それで今朝は一緒に寝てたのか……。
だけど、昨日はベッドに押倒しただけじゃないような気がする…。
ダメだ、思い出せない。
アスカがなにも言わないところをみるとたいした事無いか僕の思い違いだな。
「シンジはどういう風に責任をとりたい?」
どんな風にって言われても…。
それに責任をとる事は決定事項なのね(^^;
「あ〜シンジ、なんで責任なんてとらないといけないんだって思ったでしょ。」
ギクッ!
「な、なんだよ。そんな事思うはずないだろ。
喜んで責任をとらさせていただきます。」
「よっくわかってんじゃない。いつもそういう謙虚な気持ちでいなさいよね。」
アスカって表情がコロコロ変わるよな。
さっきまではあんなに可愛らしかったのに今は……やっぱり可愛いよ…。
「返事が無いわよ。バカシンジ。」
「わかったよ…。」
「それでよ〜し。それじゃあ、責任のとり方を発表するわね。」
ゴクリ。
「………アンタは今晩からアタシの抱き枕になること。良いわね。」
「へっ?」
「だから、抱き枕になるのよ。」
「それで良いの?」
「アタシの抱き枕になるのが不満だってぇ〜の?」
「別にそういう訳じゃないけど……。」
不満な訳無いじゃない。
責任をとるっていうより、ご褒美って感じじゃないか。
抱き枕って事はアスカが僕に抱き付いて寝るって事だよね。
それって、アスカの柔らかい感触や甘い香りを朝まで味わえるって事…。
緊張して眠れないかもしれないから寝不足対策に昼寝は必須だな。
「じゃあどういう訳よ。」
「……うれしいよ……。」
「えっ。」
それにしても、今から今晩が楽しみだ。
後書き
しばらく間を空けたので前半と後半の話しが噛み合ってないかもしれず……。