
*初めに…
*このお話はアスカがヒカリの家に遊びに行った時の出来事である。
ヒカリの抱き枕
〜ヒカリの部屋〜
「今、お茶を入れてくるから、部屋の中で待ってて。」
「わかった〜。」
ヒカリはアスカの返事を背中に受け、台所にお茶煎れに行った。
「いつ見てもヒカリの部屋は綺麗に掃除されてるわね。
アタシの部屋とは大違いね(^^;」
アスカはそう呟きながら、部屋を見渡す……。
『今度シンジに部屋の片付けを手伝わせるしかないわね。
そう二人で力を合せればアタシの部屋ぐらい簡単に綺麗になるわ。
それで、御礼とか言って、シンジになにかしてあげたりするのよ……。』
ハッ!
と、人の部屋に遊びに来てまで妄想してしてしまう、
かなりへっぽこなアスカ…。
『あぶない、あぶない。
妄想しているところをヒカリに見られたらなに言われるかわからないわね(^^;』
だが、アスカの妄想癖は、親友のヒカリだけでなく、クラス中に知れ渡っている。
何故なら、授業中にシンジの方をニヤつきながら眺めているからである。
まぁ、それは置いといて…。
んっ?
『アレはなにかしら…。』
アスカがヒカリのベッドを見ると主の居ないはずの布団が膨らんでいる。
なにかと思い布団を捲ってみると…。
『なに?これは……。』
アスカは布団の中から現れたモノを凝視してしまう。
『これって鈴原よね…。
ヒカリったら、アタシとシンジのマネをしたって訳よね。
まぁ、本物の鈴原を抱き枕にする事はまだできないから、
せめてぬいぐるみで再現したってわけね。』
「アスカ〜、ドアを開けて。」
アスカがひとりで納得していると、どうやらヒカリがお茶を持ってきたらしい…。
「ちょっと待って、ヒカリ。」
アスカはヒカリに返事をしながら、
捲っていた布団を直し、何食わぬ顔で部屋のドアを開けた。
だが、その顔は悪戯を思いついたワルガキのよう……。
当然、その事にはヒカリは気づいていない。
アスカはヒカリが入れてくれた紅茶を飲みながらどう冷やかすか考えていた。
『いきなり確信をつくのは面白くないわね。
いつもシンジとの事で冷やかされているから、
今後の為にとことん攻撃しておかないといけないわね…。』
アスカがそんな事を考えているとは思いもよらないだろう。
「アスカ?どうしたの?なにか悩みでもあるの?」
「べ、別になにもないわよ……。」
「…そう、それならいいんだけど。
なんか私の部屋に来てからアスカなにか考え事してるみたいだから。」
「大丈夫。なんでもないから……。」
ヒカリの優しさに冷やかすのはやめようか、という思いが頭をよぎるが…。
『アタシはそんなに優しくないわよ。
いつも冷やかされているお返しは10倍にして返してあげるわ。』
日頃、ヒカリにかなりやり込められているらしい。
まぁ、好きな人についての冷やかしなんて嫌なわけでもないし、
ちょっと…いや、かなり恥ずかしいだけである。
それに恥ずかしい反面、嬉しい気持ちもある。
だからこそ、ヒカリにもその気持ちになってほしい…。
『だから、アタシはヒカリを冷やかし倒してあるわ!!!』
今のアスカの気持ちはこんなところである。
『アスカ、行くわよ!』
自分に気合を入れて、ヒカリの攻略に取り掛かる。
「ねぇヒカリ。なんで布団があんなに膨らんでるの?」
『アスカ、見たわね。
いつもの仕返しをする気みたいね。』
「おかしいわね。なんでかしら?」
『まぁ、このぐらいで白状するとは思ってないわ。
次の攻撃はどうかわすのかしら?ヒカリ。』
次の戦いの間合いを計る両者…緊張の沈黙が訪れる…。
ヒカリは墓穴を掘るのを警戒してか、自分から沈黙を破ろうとはしない。
『ヒカリのヤツ、墓穴を掘るのを警戒してるわね。
学習してるじゃない。』
学習しているのも当然の事である。
1週間に一度は、トウジ絡みの事で墓穴を掘っているのだから…。
『アスカ、今日はいつもの私じゃないわよ。
いつもは喋りすぎて墓穴を掘ってたのよ。
昨日のアスカを見ていて気がついたわ。』
そう、昨日はアスカがクラスメイト全員の前で墓穴を掘った。
当然シンジ絡みで…。
「ヒカリもアレがなんなのかわからないの?」
アスカは「アレ」こと「抱きトウジ枕」を指差し、ヒカリに尋ねた。
「不思議よね〜。」
ヒカリはあくまでも惚ける作戦のようだ。
だが、アスカもヒカリが惚けてくる事は計算済みである。
「じゃあさ、布団を捲ってみない?」
「えっ?」
ヒカリはアスカの当然の提案にうろたえてしまう…。
「でも、なにか危険なモノだったら、あぶないじゃない?」
「アタシ達、これからあのベッドで寝るのよ。
危険物は排除しなくちゃいけないでしょ。」
「そ、それもそうね…。
でも、ここは私の部屋だし、アスカは危ないから部屋の外に出ていてよ。」
「アタシなら大丈夫よ。
ネルフでの戦闘訓練は伊達じゃないわよ。」
「でもね…。」
「デモもストライキもないの!
さっさと布団を捲って正体を突き止めるわよ!」
アスカは徐々に外堀を埋めようと思っていたが、
彼女の性格からしてそんな事できるはずもなく、
一気に本丸に集中砲火を浴びせることとなった。
「ア、アスカ。あぶないから、辞めたほうが…。」
そんなヒカリの制しもものともせずに、
ベッドに膝を乗せ、膨らんでる布団へ手をかける…。
「アスカ、ダメ〜!!!」
と、ヒカリはアスカを止めようとするが、軽くかわされ、
勢い余って、布団が捲られた場所にあった「抱きトウジ枕」に倒れこんだ。
それを見たアスカはニンマリと笑みを浮かべ、
「ヒカリったら、アタシが鈴原枕を取っちゃうと思ったのね。
だから、アタシが布団を捲った瞬間に取られないように抱きついたって訳ね。」
この時、ヒカリは悟った。
アスカの狙いはこれだったのだと…。
「…………………………………。」
そして、数秒間だけ気が遠くなる感覚を味わったのであった。
こうして、アスカのささやかな復習は幕を閉じた…。
あとがき
久しぶりの「らぶらぶいいんちょ!」の更新です。
この作品を観て下さった方って何人いるでしょかね…。
週番でしょっ!